子供に絵本を読むのは、とても簡単ですが、正直、面倒に感じることもあります。
普段から、子供にせがまれて、仕方なく読み聞かせをしている人でも、きっとここに書いてある読み聞かせの効果を知ると、もっとやる気がわいてくるはずです。(笑)
一般的に言われていることの他に、ちょっと深く掘り下げて、日本語脳についても説明してみたいと思います。
目次
一般的に言われている効果
よく言われている、読み聞かせの効果とは次のようなものです。
コミュニケーション能力が高くなる
読み聞かせは、双方向のコミュニケーションです。
親子で、一つの絵本を読んだり、出てくるものについて話してあげたり、そういうことが、一番身近な人とのコミュニケーションの基本となる部分なんです。
赤ちゃんの頃から、読み聞かせをすることで、人間関係の基本的なことを身につけられることに繋がりますね。
情緒や想像力が豊かになる
絵本のストーリーを追うことは、その先の展開を想像することになります。
絵本を読んでいると、悲しかったり、苦しかったり、辛い、などの感情を登場人物と一緒に味わって感じることができるようになりますね。
そういう感じたり、想像したり、という感覚的なことは、人と関わっていく上で、最も大切なことと言えるでしょう。
絵本によって、それは大いに育まれるのです。
語彙力が高まる
出来るだけ色々な種類の絵本を読んであげることで、たくさんの言葉を覚えます。
むかし話、科学の絵本、童話など、日本だけでなく、海外の絵本も簡単に手に入りますので、親が興味のあるもの以外のもので、子供が読みたいと思うものをどんどん取り入れていくといいでしょう。
意味は分からなくても、耳で聞いて覚えておけば、後から意味がわかった時に、より脳に定着しやすいと言えます。
親のストレスが解消される
子供だけでなく、親にとっても、読み聞かせは大きな効果が得られます。
子供とピッタリくっついて、絵本を読み、子供の素直な反応を感じることは、それだけ愛着を感じることができるのです。
新しい絵本を読んであげるときの、子供の喜ぶ顔は、親にとって何ものにも変えがたいものですしね。
育児のストレスが緩和されるなら、たくさん読み聞かせをしてあげるといいでしょう。
本好きになる
絵本を読んであげれば、それだけ子供は本が好きになるのは自然のことです。
自分から興味のある絵本を探して読んでもらうことから始まり、字が読めるようになったら、さらに読みたい本を選んで読むことにつながっていくことが多いでしょう。
本好きになると言っても、難しい本ばかり読むのではなく、マンガでもいいのです。
単純に、「本を読む習慣をつける」「本を好きになるきっかけを作る」という意味では、どんなジャンルのものでも興味を持つことが大切と言えます。
実際に、私の周りの人たちを見る限り、子供に読み聞かせをたくさんしてきた家の子供ほど、本好きになる傾向が強いことを感じています。
読解力がつく
言葉を話したり、書いたり、理解したり、というのは、出来るだけたくさんの本を読んでいるかどうかで、できるようになるものでしょう。
小学校に上がってからの勉強でも、国語だけではなく、算数、理科、社会、道徳など、全ての科目において、読解力は絶対に必要です。
計算や漢字のテストはできても、文章問題が出来ないという場合は、日本語の読解力が不足していることになります。
不足しているからといって、読解力は一朝一夕には身につかないので、本を読んで考えることを繰り返していくことが必要になってきます。
今後仕事をしたり、人間関係を構築していく上でも、欠かせないものなので、まずは、絵本を読んであげることで、話の流れを理解できるようになるきっかけを作ってあげるといいでしょう。
日本語脳を育てるには読み聞かせが効果的

実は、日本語というのは、世界の他の言語と比較すると特殊な言葉と言われています。
よく言われていることですが、虫の声や、川のせせらぎ、風の音、動物のなき声などの自然の音を、言葉として処理する能力があるからなんです。
普通、人間には、右脳と左脳があり、それぞれに処理する内容が異なっていて、右脳は音楽、左脳は、言語を処理しています。
ただ、日本人は、外国人がただの「音」とか「騒音」としか捉えない、自然の音を、言語として左脳で処理しているんですね。
だから、リリリとか、チョロチョロとか、サラサラとか、言葉で表すことを昔からやってきたのです。
なぜそうなったかには、日本語の母音と子音がはっきり分かれていることが原因と言われています。(他にポリネシア系の言語も同様)
外国語では、日本語でいうところの「ア、イ、ウ、エ、オ」という母音のみを発音することがありません。
子音とくっつけて使うような仕組みになっています。
実は母音というのは、自然界の音に非常に近いと言われていて、その母音を発音したり、聞き取ったりすることで、自然の音も言語として捉えることができるようになる、ということなんですね。
特に、幼少期に日本語の環境で育つことで、そのような日本語脳が作られると言われています。
普段、親子で話している言葉以外の、古くからある、美しい日本語で書かれた文章を、絵本で取り入れながら、聞かせてあげることも、日本語脳を作ったり、日本人の精神を身につけることになるのです。

それは、日本人特有の、自然を感じる心を養うことにもつながっていると言えます。
6〜9歳の間に日本語脳が作られる
この日本語脳は、6歳〜9歳の間にほぼ完成されます。
ですから、日本で生まれて、6歳まで住んでいたとしても、そこから9歳までの間に海外で生活をして、英語しか耳にしない環境にいると、先ほどあげた虫の声などの自然の音は、単なる雑音として聞こえてしまう可能性が高くなるのです。
逆に、幼少期に英語脳を作ろうと思って、英語圏に住んだとしても、6歳以降に日本に帰ってきたら、途端に英語を忘れてしまうことも多いということなんですね。
日本語が持っている独特の感覚を身につけるには、幼少期の環境が大事だということです。
補足:日本語脳でも英語は話せるようになる
社会のグローバル化に伴って、英語を早くから覚えさせよう、英語脳を作ろう、と、早期に英語教育を取り入れようとする傾向があります。
親としても、子供に英語を話せるようになってもらいたい、と思うのは自然の流れでしょう。
ただ、あまり幼少期に英語脳を作ろうと頑張りすぎてしまうと、相対的に日本語の絵本を読んだり、日本語で会話したりという、日本語を深く理解するための時間が少なくなります。
それでも日本語は普通に理解できるかもしれませんが、言葉を深く理解する感覚、特に、日本語が持っている微妙なニュアンス、などは、たくさん触れないと身につかない可能性があるのではないでしょうか。
日本語というのは、昔から日本人が自然と一緒に暮らし、川、虫、木など、どんなものにも魂が宿っていると信じて暮らしてきたことと密接に結びついているのです。
自然の音も融合し、美しい音色と感じる心は、日本語を感覚として身につけている人こそが持っているものなのではないでしょうか。
日本人の、和の心、以心伝心、そういうものも、日本語脳だからこそ感じることができると言えます。
もちろん、英語の音を理解できるようになるために、英語の発音を幼少期に聞かせることも効果がある、という説もあります。
ただ、ここでは、あくまでも日本語をしっかりとインプットすることの大切さをお伝えしたかったので、英語を早期に学習することの是非については書かないでおこうと思います。
(個人的には、大人になってからでも、英語は十分マスターできると思っています。)
まとめ
私たちは、日頃から単なる「読み聞かせ」と簡単に考えていますが、実は、深く考えると、とても大切な意味が含まれていることがわかります。
これを知って読み聞かせをすると、今まで以上に、子供にもっとたくさん良い絵本を読んであげたくなるでしょう。
今しかない、幼少期の大切な時期を、美しい日本語をたくさん聞かせてあげられるような絵本を読んであげられるといいですね。