食事の前に「いただきます」、と言う習慣が日本にはあります。
でも、言わないで食べ始める人もいます。
私も実は、子供の頃、「いただきます」をほとんど言っていませんでした。
そもそもうちの家族全員、言っていなかったと思います。
いただきますどころか、おはようも、お帰りも言わないような家庭でしたから・・・
でもやはり、「言った方がいいんだろうな」、と思ってはいました。
だから子供たちには食事の前にちゃんといただきますを言うようになって欲しくて、まず自ら進んでいただきます、と言うようにしていました。
その甲斐あってか、子供たちも今ではちゃんと言っています。
言わないより言った方がいいような気はしていても、何故言った方がいいのか、ということを説明できる人はあまりいないかもしれません。
実はこの言葉には、日本人特有の文化的背景があるのですよ。
いただきますの意味
では、なぜいただきますと言ってから食べるのかということから説明していきましょう。
一般的には、作ってくれた人に対して、感謝の意味を込めて言うものだという認識が広まっています。
そもそも「いただきます」は、「いただく」、という言葉から派生した謙譲語です。
神様や偉い人の前で、食事を一緒にする際に、感謝の意を込めて発せられたものと言われています。
食べ物だけではなく、何か物をもらった際に言うのと同じですね。
同時に、犠牲になった命に対しても、命をいただいてありがとうという感謝の意味合いもあります。
これは必ずしも動物だけではなく、米や、野菜などの食べ物に対しても、日本人がそういうものに対して人間と同等の命だと認識しているからこその、感謝なのでしょうね。
特に米は、昔は多くの労力を必要とする作物だったので、作ってくれた人、運んでくれた人、そして料理をしてくれた人に対する気持ちも表しているのです。
しかし、大昔から日本でこの言葉が使われていたのかは、諸説あるところで、広く一般的に使われるようになったのは、昭和に入ってからとも言われています。
感謝して食べると元気になれる
人間は当たり前ですが、自ら口にしたもので体が作られています。
ジャンクフードばかり食べていると、疲れが取れなくて、しまいには病気になってしまうように、日々の食べるものって本当に大事です。
しかし、忙しい現代人が毎食手作りの食事を用意するのは不可能に近いでしょう。
時にはコンビニで買ったり、インスタント物で済ますことはよくあります。
そんな時に、食に対して真面目な人は罪悪感を感じてしまいます。
そんな時に、良い方法があります。
目の前の食べ物に「感謝して」食べるのです。
ただこれだけです。
コンビニのおにぎりやサンドイッチひとつとっても、コメを作った人、小麦粉を作った人、パンを作った人、海苔を作った人、お店に配送した人、売ってくれた人など、多くの人たちが関わっています。
そのことを考えた上で、「いただきます」と言って食べ始めましょう。
そして、食べている間も、スマホやテレビは見ずに、目の前にある食べ物に向き合い、また、家族や友人と、楽しい会話をしながら食べるのです(決して悪口は言わないように・・)
すると、食べ物から最大限のパワーをもらって、元気になることが出来ます。
例え、自分一人で食べる時にも、これをやると、元気になれます。
元気になる、というのは、とたんに何事にもやる気になって、スーパーマンのように動ける、というのではないです。
どちらかと言うと、ありがたい気持ちになって、心が暖かくなる、という感じでしょうか。
食べ物でそう思うようになると、食べ物以外の物だったり、人だったりに対しても、感謝しようという気持ちになってきます。
ちょっと意識してみるだけで、変わってきますよ。
いただきますを言わない人に無理に言わせる必要はある?
よく、旦那さんや子供が「いただきます」をなかなか毎回言ってくれなかったりするのが気になる人がいるようです。
確かに、料理をするって、メニューを考えるところから始まって、忙しい合間をぬって買い物に行き、お財布と相談しながら食材を買い、作る時にも家族の好みや食べやすさ、栄養のことなどを、あれこれと考えるわけです。
そうしてやっとの思いで作ったのに、何も言わないで食べるのって失礼じゃないの?という気持ちがあるからでしょうね。
そしてイラっときて、
「いただきますは!?」
みたいな、強い口調で言ってしまったり(^^;)
イライラしない対策としては、作り手である自分も、食べ物に対して、そして今日もおいしいご飯が食べられることに感謝して、「いただきます」と言って食べる。
自分に感謝するのではなく、食べ物に感謝しているのだ、という意味で考えれば、目の前の人がいただきますと言っても言わなくても、少しは気にならなくなるでしょう。
ただ、やはり、作った側にしてみれば、手間暇かけて準備した食事を目の前の人が黙って食べるだけでは、なんだかちょっと寂しい気もしますよね。
いただきますの英語はある?
英語で、いただきますに該当する表現は、正確には、ない、と言っていいでしょう。
単に、食事の前に「Let’s eat!(さあ、食べよう)」と言ったり、カトリックの家では家族全員でお祈りをしてから食べ始めることはあります。
しかし、これまで見てきたような、日本語のいただきますの背景にある意味合いを全て含むような表現は、英語を含む他の言語にも見当たりません。
いただきますは、日本特有の風土や習慣を包括している、独特の表現なのでしょうね。
まとめ
いただきます、という言葉は、単に言葉なので、そこに気持ちがないと、言っている意味はないのかもしれません。
それでも、言わないより言った方が、感謝の気持ちを少しでも思い出すきっかけになる気がします。
一つの料理には、本当に多くの命と手間暇がかかっています。
「いただきます」は、日本人があらゆるものに感謝する気持ちを持っているからこそ、生まれてきた言葉ではないでしょうか。
そういう気持ちを大切にする意味でも、いただきます、という言葉を、いつまでも大切にしていきたいと思います。