「親業」は子育てをする上で、親が直面する問題を解決してくれます。
子供を育てるうえで、大切なのは、子供を一人の人間として尊重することだそうです。
自分が親からそんなふうに扱われてはこなかった人は、どうやって子供を尊重すればいいのかなんて、なかなか難しくてやりかたがわからないと、普通は思うでしょう。
そもそも親業って何か、について。
親業の本には、詳しくやり方が書かれてはいますが、ただ、内容が少々難しく感じることもあるのが正直な感想です。
そんな時には、親業講座に参加してみる方法が手っとり早いと言えます。
目次
親業講座に参加しました
親業の本は、私自身、育児に毎日悩んで苦しかったので、ネットを調べまくってたどり着いた本でした。
本を読んで、目からウロコの方法がたくさんのっていて、感心したのを覚えています。
本を読み終わって、数か月経った頃、まだ誰にも親業の話をしたこがなかったのに、当時知り合ったばかりのママ友から、突然、
「今度、親業講座というものがあるんだけど・・」
と誘われました。
こんな偶然めったにありません。
これは、私に行け、ということか、と思い早速行ってみることにしました。
親子のコミュニケーションの取り方の具体例
1回だけの講座だったのですが、ロールプレイングもあったりして、本を読んだことのない人でも、すんなりとわかりやすい内容でした。
その中の1例をあげてみましょう。
朝、子供が「学校なんか行きたくない」と言ったら、あなたはどんな対応をするか?
という問題が出てきました。
「あ、うちと同じ!!」
と、すぐに思いました。
まさに、小学生の娘は、1年生の1学期、学校に行きたくなくて泣いてばかりいたからです。
3年生の時には、担任の先生が怖くて、毎日学校に行きたくないとグチを言っていました。
間違った解答例の一部を紹介します。
「学校は行くものだよ」
「文句ばっかり言わないの」
「まあ、おやつでも食べたら元気が出るよ」
「どうしたの?学校で何かあったの?いじめられた?」
「だったら行かなくていいんだよ」など
どれもよくありがちな答え方ですよね?
私もよくやるのですが、親って、子供が何か不平不満を言ったら、それに対してどう説得したらいいのかを一生懸命頭で考えて、思いつく限りの言葉をとにかく発しようとすると思います。
私は事前に本を読んでいたので、これらの答えが全て間違っているのは一応わかってはいました。
その講座の先生は、それぞれの回答がなぜ間違っているかについてもひとつひとつ詳しく説明していました。
じゃあどうしたらいいのでしょう?
答えは
「そうか、学校なんか行きたくないんだ」
です。
何故この答えが正解なんでしょうか?
子供は、親が自分の言葉を繰り返して言っただけなのですが、それが、「自分の気持ちをくんでくれた」、と思うそうなのです。
自分の事を一人の人間として尊重してくれたということを実感するそうなのです。
だから、親は、普段から、自分の子供だから何を言ってもいいと思わないで、「隣近所の奥さんに対して言わないようなことは子供にも言わない」くらいの対応でいいそうなんですよ。
で、肝心の学校に行きたくない発言の続きですが、
「学校になんか行きたくないんだね」と親が言ったことから、とりあえず共感してくれた安心感から、子供は自分で考え始めるます。
「学校はつまんない」
「友達がいないし、勉強も面白くない」
など、最初はいろいろ言ってくるでしょうけど、そこは、辛抱強く、
「学校はつまらないんだね」「友達がいなくて勉強も面白くないんだね」と、ひたすら子供の言っていることを繰り返すのみです。
そのうち、「今日は雨だから」「新しい靴が濡れちゃうし」と言うかもしれませんし、
「昨日友達と喧嘩しちゃったから」「謝るのは嫌だし」
と言うかもしれません。
その都度、やっぱり、こちらは繰り返すようにするだけでいいんです。
子供は、気持ちを整理できずに、嫌なことや、ちょっとでも気になることがあっても、ストレートに言わないことがあります。
それを単純に「学校に行きたくない」と言う一言で、表現している可能性があるのです。
だから、辛抱強く聞き手に回って聞いていると、事の真相がつかめてくる、という流れが起きてきます。
ここで、注意したいのは、学校に行きたくない原因がわかってきたから、と言って、「じゃあ、お友達に謝ったら?」などのように、言っては、今までの辛抱が台無しです。
こちらから決して提案してはいけないのです!
子供は、ちゃんと自分で、こうしようかな、などと解決策を頭の中でぐるぐる考えているのですから、その思考を止めるような発言をしてはもったいないです。
親は辛抱しないといけない、と書いてしまいましたが、実際やってみると、判断を子供に委ねているので、親は説得するための方法をあれこれ考えなくていいので、とっても楽なんですよ。
この親業講座は全国各地で開かれているそうです。
興味があればぜひ足を運んでみてください。
それでは、引き続き、親業について続けましょう。
勝つか負けるかだけでは解決しない
ここからは、本で読んだ内容を参考に、よくある例をあげます。
たまに、子供と意見が合わなくて喧嘩になることがありますよね?
寒いのにTシャツ一枚で遊びに行こうとする時など、親は長袖を着せようとしたいのに、子供は言うことを聞かない場合です。
言い合いの結果、子供に長袖か、ジャンパーを着せることが出来たら、親は心の中でこう思いませんか?
「よし!上手く説得出来たな」
と、私の場合勝ち誇ったような気分を味わってしまいます。
別に勝ったと実際に思わなくても、子供が親の言うことを聞くのは当たり前だと思っていれば、当然の結果だと思います。
そういう人は、一度子供の立場に立って考えてみましょう。
子供には子供なりの理由が実はあるのかもしれません。
本当に暑がりで、汗をかくのが嫌だと思っているとか。
まだ子供なので、たいした理由ではないことが多かったりもします。
それなのに、親に、風邪ひいても知らないよ、と脅されたりして無理やり着せられたら、どんな気分でしょう。
まさに、「残念な気分」です。
自分のやりたいことが出来なくて、急にテンションが下がるでしょう。
いつもいつも親が子供を服従させるように仕向けていたら、子供は自分の意見など聞いてくれないだろうと諦めるようになります。
「いや、だって風邪ひかれたら親である私が看病しなきゃいけないでしょ?」
と反論する人が多いと思います。
例え、風邪をひいたとして、最初に出てくる言葉って想像つきますよね?
「だから言ったじゃないの!」
ということを繰り返して、子供を服従させようとしているのです。
これでは、解決にはなりません。
最初の会話の時点で、こんな風に言うことも出来たはずです。
親「寒いから長袖か、ジャンパーを着ていきなさい」
子供「寒くないからいいよ」
親「寒くないのかい?」
子供「うん、全然。みんなもTシャツだしね」
親「へ~他の子もTシャツなんだ」
子供「そうだよ。遊んでいるうちに結構暑くなるし、ジャンパーなんか着て行ったってどうせ脱ぐからね。面倒だし置く場所ないんだよ」
親「そうなの。でもあなたがもし風邪をひいたら、ママが看病しなきゃならないし、そうしたら仕事に行けなくなって困っちゃうよ」
子供「そう。じゃあ汗をかいたら、帰ってきてすぐ着替えればいい?」
親「そうね」
子供は、何故Tシャツを着ていくか、理由を自ら言っています。
ここがポイントなんです。
親に言われてしぶしぶこうだからと理由を言って、ダメ出しされるのではなく、自分の責任でこういう理由でTシャツを着ていくという行動をしているという確信を持つようになるのです。
この小さな積み重ねが、大人になっても自分の行動に責任を持つことにつながります。
そして、大事なのは、この会話ではどちらかが勝った負けたという勝負は無いということです。
子供の言いなりになっているのとは違うんですよね。
二人で解決策を話しているからです。
子供が欲しいものなどを常に買い与えているのは、単に甘やかしです。
おそらく、そこには何のまともな会話もされずに、親が子供の言うなりになっているだけでしょう。
それが子供に与える愛情だと勘違いしている親も世の中には数多くいます。
こういう環境で育った子供は、周りが自分の言うことを聞いてくれて、何か気に入らないことがあれば、それも周りのせいで周りの大人たちが悪いんだ、という考え方になります。
すると、自分の行動に責任を持つことがなくなり、例えば、成人しても自立できなくなったり(それも親のせい)、最悪のパターン、麻薬に手を出したりした時にも、親のせいで自分はこうなったと考えるようになる可能性があります。
そこで、初めて親は自分がいかに子供を甘やかしてきたのかに気づくことになるのです。
親業を取り入れるメリット
最初は、「親業で言われている感じで会話すると、時間がかかるし、一生満足するような答えは引き出せないのでは?」と心配になります。
でも、とにかく、心配するよりやってみてください!
親業を使うシチュエーションが来たら、
「あ、これだ!」、「来た来た~!」、「これを待っていたんだよね~」
と思って、早速思い出して実行に移すのです。
最初は、上手くいかなかったり、結局話がかみ合わないまま終わったりするかもしれません。
でも、続けることで、コツがわかってきます。
子供が親の前でありのままの自分を出せるようになる
子供は、親が自分の事を受け止めてくれ、批判したり拒絶しないと次第にわかってくると、自由に自分を表現しようとしてきます。
徐々にですが、必ず変化が感じられるはずです。
よく、親の前ではおとなしくていい子なのに、親の見ていないところでは、わがままを言ったり乱暴をしたりする子供っているんですよね。
それが、なくなってくると言えます。
これは、私だけかもしれませんが、そこまで行くとなんとなく子供と心が通じ合ったような感じがして、嬉しくなるのです。
あんな小さかった赤ちゃんが、ちゃんと自分の意見を言えて、問題を解決しようとしているな、と思って、「成長したものだなあ」と感激してしまいます。
これこそが、子育てをしていてよかったと思える瞬間なのではないでしょうか。
実は、メリットはこれだけではありません。
反抗期がなくなる
ここまで読んでこられた方は、すでになんとなく理解できると思いますが、子供が親に対して反抗的な態度をとることが、無くなってきます。
反抗するのは、そもそも、親が介入して、批判したり他人と比べて何かを強制したり、子供の人格を認めなかったり、あるいは甘やかしたり、ということに対して起きるのです。
ここまで来ると、子供と話し合いの場を持とうにも、相手が拒絶するでしょう。
自分自身の子供時代を振り返ってみてください。
親に反抗したくなったのは、こういうことが原因だったのではないでしょうか?
子供は反抗するものだという世の中の常識は、あてにはならないのです。
本当に、子育てが楽になるのです。
うちの子供たちは、そろそろ反抗期にさしかかろうという年頃ですが、果たして自分の子供は反抗期が来るのか、今からドキドキしています。
まとめ
ここまで読んで、親業を取り入れてみようと思っていただけたでしょうか?
親が子供を受容せずに、一方的な価値観を押し付けていることで、将来どんな大人になるのか、大きく変わっていきます。
少しでも、多くの人が、楽に、そして喜びを感じながら子育てが出来るようになるといいと思っています。